「ウイスキーって、ちょっと大人の飲み物」だと思っていませんか?
バーでひとり、静かにグラスを傾ける、別世界のお酒……。
そんな風に思っているなら、もったいない!
ウイスキーは、色んな飲み方ができ、アルコール度数も調節しやすいため、老若男女にオススメのお酒です。
私は、20代からウイスキーが好きでよく飲んでいます。
ウイスキーは、焼酎と同じ、蒸留酒。(蒸留酒については、あとでくわしく説明します)
焼酎のように、水割り、ロック、お湯割りと、さまざまな方法で飲むことができます。
ウイスキーをソーダで割ると、アルコール度数が下がって、飲みやすいハイボールになりますよね。
家でのリラックスタイムにぴったりだし、バーでちょっとウイスキーを飲んでいる姿も、カッコイイ。
今回は、「ウイスキーを飲んでみたいけど、違いがよくわからない」というあなたのために、
- サントリー山崎蒸留所の見学レポート
- 世界の主なウイスキー10種を飲み比べた味の違い
を紹介します!
これさえ読めば、ウイスキーの基礎知識はばっちりですよ♪
目次
工場見学ランキング第3位!山崎蒸溜所レポート
週末の予約が取れないことで有名な、サントリー山崎蒸溜所。
京都と大阪のあいだにあるこの工場は、ウイスキーの製造工程が見られる上、試飲もできるとあって大人気です。
山崎蒸溜所は、全国の工場見学&社会科見学ランキングの第3位にも、入っているんですよ。
(参考:トリップアドバイザー「旅好きが選ぶ!工場見学&社会科見学ランキング 2017」)
今回は、3つある見学コースのうち、ウイスキー作りの基礎全般を学ぶことができる「山崎蒸留所ツアー」(有料:1,000円)に参加してきました。
何だかすごいマシーンも見られて、とっても楽しかったので、詳しくご紹介します!
山崎は日本のウイスキー発祥の地
実は、日本で初めてウイスキーが作られたのが、ここ、山崎蒸溜所。
日本人の味覚に合うウイスキーを作るため、古くから名水の里として知られている、山崎が選ばれました。
山に囲まれた蒸溜所は、空気が澄んでいて、見学が始まる前からワクワクします。
ウイスキーの製造工程は、大きく分けると次の4つ。
- 仕込み
- 発酵
- 蒸溜
- 熟成
その全てが、ここ山崎蒸溜所で行われています。
さっそく、それぞれの工程を見ていきましょう。
工程1.仕込み
ウイスキー「山崎」の製造はまず、原料となる水と麦芽(ばくが:麦の粒を発芽して乾燥させたもの。モルトともいう)を混ぜ合わせ、麦汁(ばくじゅう)を作るところから始まります。
水の温度は約60℃だそうで、仕込み室の中は、まさにビールを温めたかのような、麦の匂いが立ち込めていました。
麦汁には、麦のデンプンから変化した糖分が含まれていますが、まだアルコールはない状態です。
工程2.発酵
麦と水から作られた麦汁は、写真の発酵槽(はっこうそう)に酵母とともに入れられ、3日間発酵します。
酵母とは、納豆やヨーグルトなどの、発酵食品にも使われている微生物。
この酵母の働きにより、麦汁はアルコールと糖分に分解されます。
そしてもろみと呼ばれる、アルコール度数7%の、ビールに近い液体ができあがるのです。
しかし、ウイスキー「山崎」のアルコール度数は43%。
ここから、どうやってアルコールを強くしていくのでしょうか。
工程3.蒸溜
ここでやっと、さきほど紹介した、すごいマシーンが出てきました。
これは蒸溜釜(じょうりゅうがま)という、もろみを蒸留するためのマシーンです。
もろみを中に入れ、下から加熱し沸騰させると、気体となったアルコールが上にあがります。
その気体を冷却水で冷やすと、アルコール度数20%の液体になります。
これが「蒸溜」という工程です。
もろみの水分とアルコールの沸点が違うため、アルコールだけが先に気体となり、取り出すことができます。
ちなみに、酵母で発酵させた液体を、蒸留せずに作ったお酒を醸造酒(じょうぞうしゅ)といい、ワインや日本酒・ビールなどがあります。
一方、蒸留酒はウイスキーのほかに、焼酎・テキーラ・ジン・ウォッカなどがあります。
厳しく温度管理された暑い蒸留室で、2回蒸留がおこなわれ、アルコール度数70%のニューポットが出来上がります。
透明のニューポットは、熟成されることにより、ウイスキーらしい色に変わっていきます。
工程4.熟成
見学ツアーの中でも、とくに人気の撮影スポットが、こちらの貯蔵庫です。
蒸留したてのニューポットは、ここで木製の樽に入れられ、長い熟成期間に入ります。
お酒が外気に触れて徐々に味がまろやかになり、また、樽の色がお酒に移って、茶色くなっていきます。
よく「山崎12年」などと年数が書かれているは、樽の中で12年以上熟成されたお酒だけを使っています、という意味なんです。
時間が経てば経つほど、樽の中のお酒は蒸発して減っていくため、年数が大きいウイスキーほど希少価値が上がり、価格も高くなります。
樽の中の原酒をブレンドして、1本のウイスキーが完成
樽の中に入っているお酒は「原酒」といい、まだお店のウイスキーの味ではありません。
ブレンダーと呼ばれる職人が、さまざまな原酒を混ぜ合わせ、バランスのとれた味を作り出すのです。
そのなかでも、ウイスキー「山崎」は、山崎蒸溜所の原酒だけで作られています。
いわばウイスキーの赤ちゃんともいえる、原酒っていったい、どんな味なんでしょうか。
さっそくテイスティングしてみましょう!
山崎の原酒をテイスティング
見学ツアー最後のお楽しみ、原酒のテイスティングでは、ブレンダーがどのように原酒を味わい、表現しているかを体験することができます。
例えば、ホワイトオーク樽とワイン樽の原酒を比べると、ワイン樽のほうが色が濃く、香りも甘い感じがします。
原酒の味の表現方法は
- ホワイトオーク樽…青りんご、バニラアイス、トースト、ビスケット
- ワイン樽…桃、りんご、チェリー、いちご
などがあるそうです。
こんなに色々な味を表現できるなんて、ブレンダーの仕事って、すごい!
本当に「トースト」や「いちご」の味がするかどうかは、ぜひ実際に飲んで感じてみてください。
テイスティングでは、ウイスキー「山崎」に水を加えたり、ハイボールにしたりして、飲み方の違いも楽しめます。
山崎蒸留所ツアーは、ここで終わりです。
しかしせっかく来たのですから、世界のウイスキーのテイスティングもしていきましょう!
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世界のおすすめウイスキー10種を飲み比べ!
山崎蒸溜所には、世界のウイスキーを試飲できる、テイスティングカウンターがあります。
入場は無料。(山崎ウイスキー館見学予約が必要)
テイスティングは有料ですが、山崎12年(15ml)が200円、響17年(15ml)が300円など、破格の値段です。
すべてストレートで提供され、飲食物の持ち込みは禁止なので、飲みすぎに気をつけてください。
ではここからは、私が実際に飲んだ世界のウイスキー10種を紹介します!
ジャパニーズ・ウイスキー
その名の通り、日本で作られているウイスキー。
いずれも、日本人の口に合うように、研究が重ねられた1本です。
山崎12年
「山崎蒸溜所見学ツアー」でテイスティングした、スタンダードな山崎の、12年バージョンです。
バニラや桃のような、芳醇で甘い香りがします。
樽で12年以上熟成された原酒だけを使っているので、味はかなりまろやか。
口に含むと、苦味の奥から、濃厚な甘みが顔をのぞかせる、奥行きのあるウイスキーです。
山崎蒸溜所限定シングルモルトウイスキー
山崎蒸溜所で作られている限定ウイスキー。
ボトルにはシリアルナンバーが入っており、売店でも販売されています。
さきほどの山崎12年よりも、スッキリとした控えめな香り。
透明感のある茶色がきれいで、お土産にも最適な1本です。
白州(はくしゅう)12年
山梨県の、サントリー白州蒸溜所で作られているウイスキーです。
山崎との一番の違いは、スモーキーフレーバー(煙のような香り)があること。
こちらの白州12年は、ほんのり甘いレーズンの香りと、ふっくらとした煙の匂いが、魅惑的な1本。
口の中に、いぶしたような何とも言えない風味が広がり、コーヒーの苦味を愛するように味わうことができます。
響(ひびき)17年
ボトルのカッティングがきれいな、響。
世界でさまざまな賞を受賞している、サントリーが誇るブレンデッドウイスキーです。
山崎のように、麦芽から作られた原酒だけを使っているものをモルトウイスキー、麦芽以外の穀物を使った原酒も入っているものを、ブレンデッドウイスキーと言います。
響は、まさにブレンダーの技が結集した1本。
甘く華やかな香りが期待させる通り、飲むと優しい舌触りに癒されます。
ウイスキーをあまり飲んだことがないなら、響から始めてみると、飲みやすいかもしれません。
スコッチ・ウイスキー
ウイスキーの本場、イギリスのスコットランドで作られているのが、スコッチ・ウイスキーです。
ここでは、世界中で飲まれている代表的な3本を紹介します。
ザ・マッカラン ファインオーク 12年
華やかな香りと優しい飲み口で、男女問わずファンが多いマッカラン。
なんとこの日、スタンダードなマッカランは人気のため、売り切れでした。
代わりに頼んだのは、スタンダードなマッカランとは違う種類の樽から作られた、ザ・マッカラン ファインオーク。
バニラの香りが特徴で、ハチミツのような甘さの中に、複雑な味わいを感じました。
グレンフィディック12年
グレンフィディックは、世界で一番飲まれているシングルモルトとして、有名です。
シングルモルトとは、山崎や白州のように、同じ蒸溜所の原酒だけで作られた、モルトウイスキーのこと。
洋梨のようなフルーティで濃厚な香りがしますが、味はほんのりと甘味を感じる程度で、さっぱりしています。
スコッチでどれを飲むか迷ったら、まず飲んでみて欲しい1本です。
バランタイン12年
スコッチのブレンデッドウイスキーの中で、かなり有名なのが、こちらのバランタインです。(バレンタインではないので、注意!)
ほんのりバニラの香りがしますが、味はけっこうドライで、スッキリしています。
あまり後味が残るのは好きじゃない、さらっと飲みたい、という人におすすめ。
ちょっとクセのあるウイスキー
最後は、いわゆる「定番ウイスキー」ではないものを、3本ご紹介。
ふだんからクセのある飲み物、食べ物が好きな人は、一度飲んでみてください。
ボウモア12年
さきほど紹介した白州と同じく、スモーキーフレーバーがついたスコッチウイスキー。
ただし、白州よりもかなり煙の香りが強いです。
飲むとしっかりした渋みがあり、まるでダークチョコレートを食べたときのような、クセになる味わい。
水で割るとせっかくの個性が消えてしまうので、ロックで飲むのがおすすめです。
ラフロイグ10年
「好きになるか、嫌いになるかのどちらか」という、強烈なキャッチコピーがついているお酒、ラフロイグ。
ボウモアよりスモーキーフレーバーは弱いですが、飲んだときのインパクトは抜群。
まるで煙をそのまま吸い込んだかのよう。
もし、白州やボウモアを飲んで「おいしい」と感じたら、ラフロイグもぜひ「好きになるか、嫌いになるか」試してみてください!
メーカーズマーク(バーボン)
最後に、バーボンウイスキーを紹介します。
バーボンとは、主にアメリカのケンタッキー州で、決まった製法で作られているウイスキーのことです。
原料には、トウモロコシやライ麦などが使われ、力強い味わいが特徴です。
こちらのメーカーズマークは、ふたとボトルがロウでふさがれている、珍しいデザイン。
実はこれ、1本1本手作りで、同じ形のものはありません。
店で見かけたら、ぜひふたの部分に注目してください!
ウイスキーの色々な飲み方
最後に、ウイスキーの色々な楽しみ方を、まとめておきます!
お酒の味を、しっかり感じられる順に並べましたので、好きな飲み方を見つけてください。
- ストレート…ウイスキーをグラスにそそぎ、氷を入れずにそのまま飲む。通常、チェイサー(水)を用意して交互に飲む。
- ロック(オン・ザ・ロック)…氷を入れたグラスに、ウイスキーをそそいで飲む。氷は大きめにすると、溶けにくくなる。
- トワイスアップ…ストレートウイスキーに、同量の水を加えて飲む。香りが花開き、味もまろやかになるおすすめの飲み方。
- ハーフロック…氷を入れたグラスに、ウイスキーと同量の水を加えて飲む。トワイスアップ同様、香りとまろやかな味が楽しめる。また、時間がたつごとに氷が溶け、アルコール度数も下がる。
- 水割り…ウイスキーをグラスの3分の1ほど入れたあと、残りを水で満たす。好みの濃さに調節できて便利。
- ハイボール…グラスにウイスキーを適量そそぎ、ソーダを加える。炭酸が抜けないよう、かき混ぜすぎないのがポイント。食事にも合わせやすい、人気の飲み方。
ほかにも、クラッシュアイスにウイスキーをそそぐミスト(夏におすすめ)や、お湯で割るホットウイスキーなどがあります。
いつもとは違う飲み方をしてみると、同じウイスキーでも新たな魅力が発見できますよ。
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気分に合わせて、ウイスキーを選んでみよう
ウイスキーは、みんなでわいわい飲むより、誰かとゆっくり、またはひとりで楽しむのに向いています。
バーに来たけど、今日はちょっとビールやカクテルの気分じゃないな……というときは、ぜひウイスキーを頼んでください。
好きな味が見つかったら、家に1本置いておくのもおすすめです。
ワインのように、飲みきる必要がないので、いつでも、気ままにあなたを癒してくれますよ。
まだ出会っていない、おいしいお酒を、探してみてくださいね。